
対談 有識者×SPJOB
第2回「人生の大きな転換期。それはやっぱりロンドン!」

MICCHI「ソマリア沖から帰還した後、最前線勤務という目標を達して燃え尽きてしまい退官しました。穏やかな余生を送ろうと民間企業への転職を目指したのですが、再び最前線に戻りたいと思うようになりました。」
木本「やっぱりね。だって、そういう人だもん。」
MICCHI「はい。思えばソマリア沖での艦隊勤務は激務でしたが、世界情勢の当事者である緊張感がありました。海賊多発地帯で商船を守るのは俺たちだ、という。もう一度、最前線で当事者になりたい気持ちがふつふつと湧き上がってきました。というか平和な日本で穏やかに暮らすのは、僕にはやっぱり無理だと悟りました。」
木本「欧米では有名ですよね、ロンドン大学王立学院(King’s College London、略してKCL)。」
MICCHI「これから海外で民間人として最前線に立つには、3つの条件が必要だとアドバイスされました。語学力、肩書、人脈。海外の名門大学で学位をとれば、その全てが手に入るのではないかと。それでKCLに行って戦争学の修士号を。」
木本「来ていた人たちはその道のプロばかり?」
MICCHI「現役の軍人や学者もいましたし、人道支援に携わる国際機関の人も。学位を取った後はまた現場に戻りたいという人たちも多かったです。」
木本「面白かった講義は?」
MICCHI「HOME GROWN RADICALISATION(イギリス国内で育った過激派によるテロ等)の政策をテーマにしたコースが特に面白かったです。ある宗教を全面禁止すべきか、それとも禁止はせずに穏健派を育成すべきなのか、従来から対立する学説があります。穏健派であろうと過激派の入り口になりうるから全面禁止すべきだという学派と、穏健派を育てれば過激派を駆逐するだろうと考える学派。未だに結論は出ませんが、僕は後者にベネフィットが大きいと思います。穏健派とのコネクションはインテリジェンスという面でも貴重かと。」
第3回「ようこそ戦争学マスターの道へ!」に続く。
・インドではなくてロンドン。ガンジス川でなくてテムズ川。
ある場所から、まるで呼ばれているかのような不思議な感覚。
人によってはそれがニューヨークだったりパリだったり、あるいはインドだったりするのかもしれない。MICCHIさんもロンドンに惹きつけられた一人だ。
運命の地を踏む最初の一歩。しかし初めてのような気がしない。来たというより帰ってきたという感覚。
これからこの場所で起きること、出会いのすべてが大きな糧になるだろう。そんな確信から、まだ見ぬ未来が始まる。
場所(地面)と人には相性がある。縁と言うべきか。
そしてMICCHIさんや私にとって“聖なる川”は、ガンジス川でなくテムズ川なのかもしれない。(テムズ川では沐浴できないのでご注意を)
終わり。
