対談 有識者×SPJOB

特別対談 「お仕事の選択と実現」 第2回“大学篇” 映画SP野望篇・革命篇 監督 波多野貴文 × 木本亮

  岡田准一さん主演映画「SP 野望篇・革命篇」でメガホンをとった波多野監督に聞く「お仕事の選択と実現」。 今回はシリーズ第2回となる「大学篇」。読者の皆様がおかれた立場から、是非とも何らかのメッセージを汲み取って頂きたい。 〈取材・文 木本亮 、 写真 キタガワミチヒロ〉

・九州を出る。

-お父様や人生の先輩に影響を受け、仲間と切磋琢磨しながら育った波多野少年は、中学・高校とホームステイを経験して視野を拡げた。映像業界への想いを抱えつつも、家業を総合建設会社として発展させるため、大学の建築学科を目指した。
「僕が師事した神谷宏治先生は、丹下健三の最高傑作とされる国立代々木競技場(1964年)の設計チーフを務めた人です。その神谷研究室で受けた指導の一つが、コレの為にアレを諦めず“あれもこれもそれもどれも”全部取り入れるということでした。」
-大学院に進学して、神谷教授の元で更に道を究めるつもりだった。

・選択のとき

-ところが!?
「神谷先生がまもなく退官すると知り、大学院への進学は取りやめて就職活動をしました。建設会社から内定を頂いた頃には、幼い頃の映像への想いを止められなくなりました。ここで舵を大きく切ると決断しました。しかしそれはまたしても、幼少の頃から知らず知らずのうちに選んできた、困難な進路でした。なぜなら、相変わらず何の手がかりも無かったのですから。」
-就活の波にのまれそうな気がした時、更に高い荒波航路を選択した。
「中学時代の自分とは違い、今度は行動に出ました。当時ウルトラマンショーのバイトをしていた友人をきっかけに、映像制作スタジオを見学する機会を獲得しました。4年生の夏休み中、そのスタジオに通いました。そして卒業後はスタジオの近くに引っ越すことを決意しました。あてなど何もありませんでしたが、まずは近くに住むことが近道に思えたのです。」
-祖師ケ谷大蔵駅の近くにある「東京メディアシティー」。近くに住んだからと言って、業界への手がかりがつかめる保証などない。実家のお母様は泣いて反対した。

・優柔不断な頑固者

-インタビューの合間にとても興味深いお話をしてくださったので、「選択と実現」と直接は関係ないものの、是非紹介させて頂きたい。スタッフにどう思われているのか、という事について。
「優柔不断な頑固。自分ではあまり感じていませんでした。確かに僕はキャスティングやロケ地、セットに衣装に持ち道具など、その全てにおいてなかなかクビを縦に振りません。もっといいモノがあるのではないか、アイデアが生まれるのではないかと思うからです。決断のタイムリミットとは、とても難しいものです。あらゆる可能性を試し、そこから不要なものを削り潰していって、足掻いて足掻いて、そして生み出されたモノが僕の作品なのです。」
-そういうスタイルが、優柔不断な頑固に見えるのか。
「僕のイメージはこれだ、と直ぐには口にしないようにしています。多くの人に受け入れられるエンターテイメントを目指しているので、自分だけの偏った世界に陥ることが怖いのです。みんなの能力が全部欲しい。あらゆる可能性から凝縮していきたいのです。“あれもこれもそれもどれも”です。」
-取りこぼしがあるかもしれないと考え、不安になることさえあるという。皆で最高のものを作り上げたいと願うからこそだろう。そして時には、苦言を呈してくれる人、意見の違う人を敢えてそばに置く事でこそ広がる新世界がある。

・自己成長のため、より良い作品作りのために

-人は環境に影響を受け、環境によって育つといえる。この事についても示唆深いお話をしてくださった。
「成長するには環境が大切だと思っています。祖父やオヤジなど、生まれ持った環境による影響は多分にあります。しかしながら、“自分の意志で置かれる環境をつくる”ことも出来ます。例えば僕の映像制作チームでは、スタッフの経験値にこだわらず賛成反対の言葉を発し易い環境づくりを心掛けています。そこに新たな可能性の種が落ちている気がするのです。」
第2回「大学篇」、終わり 第3回目となる次回は、フリーターをしながら映像業界への道を模索し、ついにキッカケをつかむ「野望篇」です。乞うご期待!

エスピー・ジョブ 木本亮

投稿者の記事一覧

警護学校「SAFE HOUSE」総長
https://safehouse.toyko

□監修□
フジテレビドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」('07)
映画「SP THE MOTION PICTURE 野望篇・革命篇」('10,'11)

□身辺警護考証□
NHKドラマ「4号警備」('17)

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